魚屋さんとして大切にしていること【Voi.1】

あえて言わせていただきます

「お様第一主義」

 お客様第一主義という言葉は、商売をする者にとっては、もはや当然のこととなっていますが、どうもそれが行き過ぎた結果、本来のお客様の幸福を遠ざけていることにもつながっています。
 私たちが営む水産業界においては、「美味しい魚がもっと欲しい」というお客様ニーズに“応え過ぎた”結果、乱獲で水産資源の枯渇と高騰を招いています。
 「魚は鮮度の劣化が激しいので、もっと品質を安定させてほしい」というニーズには、冷凍品や養殖品を拡充して応えましたが、自然そのものの美味しさを持つ天然生鮮魚の取り扱いが減少してしまい、更には魚を捌くことも減り、技術の伝承にも支障が出始めています。
 他にもこのような例は多くありますが、共通して言えるのは、「自然界の生き物である魚は、本来品質が不安定であるもの」という前提を捨てて、「品質を一定にできる工業製品のように取り扱おう」としたことです。

 漁師さんたちは深夜から荒波に向かって出港し、極寒の真冬でも転落の恐怖と闘いながら漁をされています。未明に港に帰ってきて、漁獲された魚を種類や大きさごとに選別し、セリで取引が終わればすぐさま出荷のために魚を洗ったり氷を詰め替えたりと、品質保持に心血を注いでおられます。小魚など膨大な量に及びますが、これにほんの少しでも他種の魚が混じっていれば、「異物混入だ!」と騒ぎ立てる人たちもいます。それが応えるべき「お客様ニーズ」だとするならば、選別にかなりの時間を要して結果的に鮮度は劣化します。そうなればそれで「鮮度が悪いから買わない」となるでしょうから、先述した漁師さんたちの想いはいかほどか…。
 魚というのは基本的に「自然界の生き物」であり、工場で一定品質で生産される工業製品ではありません。工業製品だとお客様ニーズに応える手立てはいくらでもありますが、その論理を魚に当てはめると良い商品にはなり得ません。
 ですから、できるだけ魚や流通に無理強いしないこと、その日その日の海模様に任せて獲れた魚を、必要最低限の取り扱いで素早く店頭に届け、魚を愛する確かな職人の手に任せることこそが、抜群に美味しくて健康に良い魚を手に入れる方法です。これこそが究極の「お客様ニーズ」ではなかったでしょうか。
 お客様第一主義ばかりを追い掛けると良い商品は届かなくなります。「お様第一主義」でいることこそが、本当の「お様第一主義」につながるのです。
 水産業に限ったことではないですが、利益を追求するあまり品質が誤魔化されることも多くある中、自分の仕事にプライドと情熱を持って、誠実に努力されている人たちもまた沢山おられます。従来はそういった真面目な人にはどうしても利益が残らない世の中でしたが、いや、そういう人たちにこそ利益が集まって繁栄していくべきだと私どもは思っています。
人と魚の未来を考えています
西浅 代表取締役児玉 周
2020年5月1日
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