新型コロナウイルスの自粛要請期間には、我々スーパーマーケット業界ではライフラインとしての営業継続をしながらも、店内のこまめな衛生管理や営業時間短縮など、様々な対策を講じていました。その中に「チラシ広告の配布停止」があります。
これはお客様のご来店を集中させないという目的だったわけですが、西浅としてはちょっと感じ入ることもありました。チラシ広告には「○○が△△円でお買い得!」などという内容を掲載するわけですが、ほとんどのスーパーではデザインして印刷して新聞に折り込むまでに2~3週間を要します。つまりこれは「今日のおすすめ品は2~3週間前に決められている」ということです。
工場で生産されるような商品だと、事前に計画することは可能ですが、さて我々の商品である魚はどうでしょう。2~3週間後にどんな魚が水揚げされて、どれぐらいの価格相場になるかなんて、海は教えてくれません。分からないけど、チラシ広告を準備するために、とにかく見切り発車で商品と価格を決めてしまう。
そして当日、漁師さんが水揚げしてくれた結果、決めていた魚が水揚げされなかった場合、店頭では「本日は入荷がありませんでした」というお詫びを出すことになります。こういった事態を避けるためにも、大抵の魚屋さんは結局は工業製品である養殖品や冷凍品ばかりをチラシ広告商品に選ぶのです。
養殖品や冷凍品でも美味しいものはあります。でも、やはり天然や冷凍されていない生魚の美味しさは格別です。
「チラシ広告商品を必ず店頭に並べる」というお客様への約束を守ろうとするあまり、本当に美味しい天然物や生魚をお客様から遠ざけてしまっているようでは本末転倒です。
「チラシ広告商品を必ず店頭に並べる」というお客様への約束を守ろうとするあまり、本当に美味しい天然物や生魚をお客様から遠ざけてしまっているようでは本末転倒です。
私たち西浅は、「本当に美味しい魚を食べてほしいから、チラシ広告に依存しない」というスタイルを採ってきましたので、「お店に行ってみないとおすすめ商品が分からない」というご不便はお掛けするかもしれませんが、「おすすめする商品は他所よりも絶対に自信がある」という価値をご提供しています。
そのようなことから、今回の騒動下、世の中では一時チラシ広告はなくなりましたが、西浅では特に変化も感じることも無く、相も変わらず「海が教えてくれる今日イチバンの魚」を探す日々を送っています。
人と魚の未来を考えています
西浅 代表取締役児玉 周
西浅 代表取締役児玉 周
2020年11月2日